溶接ヒューム対策

「溶接ヒューム」および「塩基性酸化マンガン」が、労働者に神経障害などの
健康被害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、
「労働安全衛生法施行令」の一部を改正する政令
「特定化学物質障害予防規則及び作業環境測定法施行規則」の一部を改正する省令
「作業環境評価基準等」の一部を改正する告示
これらが、令和2 年4月22 日に公布及び告示されました。
これにより、金属アーク溶接等作業を行う際
様々な対応が義務付けられる事になります
個人サンプリングによるヒューム濃度の測定
令和4年3月31日までに測定・調整が必要です
■現に継続して金属アーク溶接を行っている屋内作業場は令和4年3月31日までに行う
(注)個人ばく露測定は、第1種作業環境測定士、作業環境測定機関などの、当該測定について十分な知識・経験を有する者により実施されるべきと通達されています。
労働者の身体に装着する試料採取機器等で測定し、結果に応じて換気装置の風量の増加等、措置を講じて再度測定する必要があります。測定結果は、アーク溶接等作業を行わなくなった日から3 年間の保存が必要です。
日本作業環境測定協会
公益社団法人 日本作業環境測定協会
https://www.jawe.or.jp/link/sokuteikikanichiran1.html

呼吸用保護具の選択
令和4年3月31日までに準備が必要です(選定結果の記録含む) 経過処置有■屋内外問わず、金属アーク溶接を行う作業場において有効な呼吸保護具が必要
※使用可能な防じんマスクの種類は、溶接ヒューム中のマンガン濃度によります。
継続して金属アーク溶接等を行う屋内作業場においては、空気中の溶接ヒューム濃度測定の結果に応じて最適な呼吸用保護具の選定が必要となります。1年以内に1回、呼吸用保護具が適切に装着されている確認(フィットテスト)を実施し、その結果を3年間保存することと通達されています。
『保護具の選定』に関する基準は厚生労働省のウェブサイトをご確認願います
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12725.html

作業主任者の選任
令和4年3月31日までに準備 経過措置有
■溶接ヒューム及び塩基性酸化マンガンに関わる作業・業務を実施する際は『特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習』を修了した方から選任
作業主任者の職務内容
●作業に従事する労働者が対象物に汚染され、吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
●全体換気装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること
●保護具の使用状況を監視すること
特殊健康診断の実施
令和4年3月31日までに準備が必要です
■金属アーク溶接等作業に常時従事する作業者に対して健康診断を実施する
●上記健康診断の結果、他覚症状が認められる者等で、医師が必要と認めるものに対し規定の事項について健康診断を実施する(2次健診)
●健康診断の結果を労働者に通知する。
●健康診断の結果(個人票)は、5年間の保存が必要
●特定化学物質健康診断結果報告書(特化則様式第3号)を労働基準監督署長に提出
●健康診断の結果異常と診断された場合は、医師の意見を勘案し、必要に応じて労働者の健康を保持するために必要な措置を講じる。
- 1次検診
- ①業務経歴の調査
②作業条件の簡易な調査
③溶接ヒュームによるせき等パーキンソン症候群様症状の既往歴の有無の検査
④せき等のパーキンソン症候群様症状の有無の検査
⑤握力の測定
- 2次検診
- ①作業条件の調査
②呼吸器に関する他覚症状等がある場合における胸部理学的検査等
③パーキンソン症候群様症状に関する神経学的検査
④医師が必要と認める場合における尿中等のマンガンの量の測定
※診断項目は、従来の「マンガン及びその化合物に係る項目」と同じです。
※併せて、金属アーク溶接等作業については、「じん肺法」にて義務付けられている じん肺健康診断も従来通り必要となりますので、両方の健康診断を実施する必要があります。
全体換気装置等による換気
令和3年4月1日からスタート
■作業場の全体換気、または同等以上の措置
全体換気装置・プッシュプル式換気装置・局所排気装置等、様々な方式の装置が対象。
選定においては、「空気中の溶接ヒューム濃度の測定」にて、定められた基準をクリアできる機器
が必要となる為、作業環境に応じた装置を検討する必要があります。
作業場所に最適な集塵機を提案します
PCL-H型
ジェットパルス式ヒューム回収型小型集塵機


●トラップボックス標準装備
確実に危険物をキャッチ火花も事前に除去します。
- ●省エネルギー
- 成形カートリッジフィルタが集塵能力を長時間維持し、素早く衛生的に処理するため消費エネルギーを節約します。
- ●優れた集塵能力
- ジェットパルス式採用により、優れた払落し性を実現。運転を停止することなく自動的に除塵ができます。
- ●省スペース
- 部品サイズを最小限に抑えた設置スペースを取らないコンパクト設計。
- ●かんたん操作
- 複雑な操作は一切排除!簡単なボタン操作で高水準集塵が可能に。
- ●難燃加工成形カートリッジフィルタ
- 万が一火花が入ることを想定し難燃加工フィルターを使用しています。
REシリーズ
軸流ファン


●本体ドラムとフランジが一体形成で頑丈かつ空気漏洩がありません。
●開口部がワンタッチで開くので、保守点検、清掃が簡単
●冷却ファンによりベルト寿命が向上
建屋の入口・作業場所の近辺に設置することで溶接ヒュームが空気中に留まるのを防ぎ、換気効率を高めます。
全体換気装置等による換気
全体換気装置


作業場所全体をクリーンな空気に入れ替えます。
了生では、全体換気、局所排気、プッシュプルなどあらゆるご提案が可能です。
床の掃除等
令和3年4月1日スタート
■屋内作業場の床面を、水洗等で容易に掃除できる構造にする必要があります。
■水洗等、粉じんの飛散しない方法で、1日1回以上の清掃が必要となります。
掃除機での清掃では、『粉じんの飛散しないHEPA以上のフィルター付きのもの』と定められました。
セントラルクリーナー
ジェットパルス(自動式)


HEPA・ULPA対応可能。本体が掃除する場所から離れているので騒音・排気空気による飛散がありません。
その他 必要な9項目
令和3年4月1日スタート
- ■安全衛生教育
- 新たに雇い入れたときや、労働者の作業内容を変更したときは安全衛生教育が必要となります。
- ■ぼろ等の処理
- 特定化学物質によって汚染されたウエス、紙くずを、ふた付きの不浸透性容器に納めておく。
- ■不浸透性の床の設置
- 作業場所の床は、不浸透性の床(コンクリート、鉄板等)にする。
- ■立入禁止措置
- 関係者以外の立入禁止と、その旨の表示を行う。
- ■運搬貯蔵時の容器等の使用等
- 運搬・貯蔵時、化学物質が漏れ、こぼれる等のおそれがないよう、堅固な容器を使用するか、確実な包装をしなければなりません。
- ■休憩室の設置
- 対象物を常時、製造・取り扱う作業に労働者を従事させるときは、作業場所以外の場所に休憩室を設け、1日1回以上の清掃を行う。
- ■洗浄設備の設置
- ・洗顔、洗身またはうがいの設備
・更衣設備
・洗濯のための設備
以上の設備を設ける。
- ■喫煙または飲食の禁止
- 作業場所での飲食・喫煙の禁止その旨の表示を見やすい位置に表示
- ■有効な呼吸用保護具の備え付け等
- 必要な呼吸用保護具を作業場に備え付ける。